親父との思い出の店に行った。
心地よい空間にゆったりと時が流れている。
職人魂あふれた本当に感じのいい店。
「寸法を取りにいって来なさい。」
人生の門出にモーニングを作ってくれた。
初めてのオーダー・ハンド・メイド。
体にぴったり、心にしっくりきて、
少々乱暴に着脱しても前の部分は型崩れしない。
以来数着頼んでいる。
いい仕事をする職人がいる全ての店を親父は愛して
なぜこの店がよいのかを説明しながら私に薦めた、
または一緒に連れて行ってくれた。
そして必ずこう言った。
「なあ・・・いいだろう?」
一人で親父との情景や対話を思い浮かべ反芻していた。
時が流れて事が済んで帰り際に
いつもの柔和な表情の中に自信と経験にあふれた
フロアー・マネージャーが言った。
「お父様にもよろしくお伝え下さい。」
瞬間深く思案したがこう答えた。
「親父は昨年旅立ちました。
今日は懐かしさを求めて来ちゃいました。
今後ともよろしくお願いいたします。」
優しい柔和な表情は変わらなかったが
瞳の奥が唖然としたようで
口元の笑みが凍ってしまった。
「気付きませんで失礼しました。」
迷わずにやはり先に言うべきだったのか。
何かとても悪いことをしたような気持ちになった。
[いいですね] 在りし日のお父様との思い出・・・胸にひびきました。
投稿情報: hilorie | 2009年6 月15日 (月曜日) 21:49
コメントありがとうございます!
親父の有難さは
わかっているつもりでも
他界するまで
本当にはわかっていなかったのでした。
こうして親を一人おくって
ようやく大人になった気がします。
投稿情報: kawa | 2009年6 月17日 (水曜日) 18:30